鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

ひと葉が1万円のシダ

私の名前は東田ルリ子。トリと植物が大好きなおばはんである。周りを山で囲まれた田舎に住んでいるが、いくつかの山は1000mを越す、しかも250万年前は火山だったという所が多い。

中には1500m以上のちょっとした高山もあって、当然トリも植物も豊富だ。趣味の山野草をゲットするにはもってこいの地域なのだ。高山植物もあるし、珍しい鳥類もいる。都会の山野草愛好家などは店に行かないと手に入らないような植物も、山だけでなく家の外に出ただけで手に入ったりする。良い物が欲しければ車でひとっ走りすれば、バケツ一杯くらいすぐに手に入る。しかし、だからと言ってどんなものでもゲットできるかと言えば、そうでもない。車が入れないような深山で、ロッククライミングしなければ採れないような物は、とても採りに行く気はない。当然、専門店で購入することになる。山野草の中でも種類の多いシダ類の収集に力を入れていたので、ある時、当時人気のイワオモダカ

銘品を買ってみようと思い立ち、奈良の業者からカタログを取り寄せた。イワオモダカは普通の並み葉が500円。銘品は目の玉がデングリ返りそうなほど高かった!葉っぱ一枚が1万円なんて値が付いている。

今なら、誰が買うか!と怒る所だが、当時は働いていてカネがあった。電話をかけて、信濃獅子という葉が三枚のシダが欲しいと言った。

ところが、そのシダは売り切れて在庫がないから四国獅子はどうか、葉は同じく三枚だが2万円に負けておく、と言う。

なんとなく得をした気分になって、それを注文した。植物の通販は大抵が前金である。代金を口座に振り込んで1週間ほどして運送屋がシダを届けてくれた。それは信楽焼きの上等な鉢に入っていて、しばらく植え替えをしなくとも良い。押し頂いて台所の窓辺に鎮座させた。

今では実にバカバカしい買い物であった。