鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

セキセイインコ

取り消しの効かないインコの物まね

2018/5/21() 午後 0:25

インコを飼っている。ずっとオカメインコやラブバードを飼育してきたが、初めて飼ったのは初心者向きのセキセイインコだった。頭のてっぺんが黄色と他は青から紫色に変化した綺麗な個体で、目が黒目がちのイケメンだ。

かなり育っており翼も生えそろって自分で食べられるようなので、手の上にヒナ用の餌を乗せてヒナを膝に抱くように給餌する。食べてくれたあと、段ボールのミカン箱へ戻す、を繰り返した。二三日して仕事から戻ってみると箱のへりにヒナが止まっている。これはいけない、と焦ってカゴを買ってきた。名前をピロと名付け、部屋中を飛び回れるようになったので、一つ言葉を教えてみよう、と思い立ち、毎日ピロちゃん、ピロちゃんとしつこく聞かせた。だが一週間、二週間と教えても、いっこうにしゃべってくれない。母親が、しゃべったりするものか、と馬鹿にしたが、物まねの練習を始めると、インコはカゴの網にへばりついて熱心に聞いてくれる。なかなかの勉強熱心だ。

だから、見込みがある、と睨んで練習を続けた。三週間、四週間、一か月がたち、ついに練習の成果が表れた。トリが小声でブツブツなにやら呟いている。良く聴くと、なんとピロちゃん、ピロちゃんと言っているではないか!ヤッター、と言ったかどうかは忘れたが、喜びが沸き上がったのは確かである。しゃべってくれたので気を良くして、次はコンニチワを教えることにした。しかし、こちらも初めの頃みたいな熱意は少し衰えていたので、顔を見る度に教えるのではなくテープレコーダーに吹き込んだ言葉を聞かせることにした。この方法は鳥にストレスを与えるので感心しない、とも耳にしたが、とりあえずやってみた。結果はすぐに出て一週間でコンニチワを習得した。ますます気を良くして次は少々長い、コーヒー飲みたいなあ、と言う言葉を教えてみた。今度はテープに吹き込むのも面倒だったので相手をする都度、コーヒーノミタイナアとしゃべって聞かせた。10日ほどで覚えて、人が来る度に聞かせて愛想を振りまく。優秀なインコであった。

 

ちょうどその頃、巷ではエイズが流行り出して問題になっていたので、ついピロの前でエイズコワイ、と何度か口走ったのが間違いのもとである。すぐに覚えて、エイズコワイ、エイズコワイ、とやりだしたではないか!えらいこっちゃ!だめだめ、止めろ!と言ったところで聞いてくれるわけはない。

まずい言葉を教えてしまった!他の言葉を話さないでこればかり連呼する。いったん覚えてしまった言葉の取り消しはできないのだ。もう、忘れてくれるのを待つほかはない!この言葉がいたく気に入ったらしいインコはその後数か月、来客を笑わせ、飼い主を悩ませた!