鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

ツバメのヒナを拾った話 4

ツバメのピーちゃんは止まり木にも止れない。足が弱いからだと思う。一番小ぶりなサイズの四角いトリカゴの底を外し、それを横倒しにして底の部分が前側に来るように置いた。そして、100均で買ってきた四角の餅焼きアミを針金でくくりつけて片開きの扉にした。止まり木は床から5センチの高さにして、一応、飲み水はいれてあるが、虫の入ったエサ入れはない。生きたミルワームは勝手にあちこち這い回る。だからいれなかった。故にピーちゃんは上げ膳据え膳なのである。眠る時は別のカゴを逆さまにして天井部分が開くようにした物の中にカナリアの巣皿を置き、そこに泊まって寝る。カナリアの巣皿はワラでできているので、足の弱いピーちゃんでも楽である。朝になるといつものカゴに入る。時おり止まり木に止ることもあるが、中で色々なことをして遊ぶでもなく、家人が誰かいればいつもコタツの上が定位置だった。

そのころ、家で飼っていた鳥はルリコシボタンインコのサナとオカメインコのアサで、ボタンインコのほうはまだ1才くらいだったが、なかなか手に合わない。ボタンインコの定番で、やっぱりよく噛みつく。飼い主がツバメのヒナに夢中なのが大いに気に食わない様子で、一度、勝手にカゴから出てきてツバメの前に行き、シゲシゲとながめているのに気が付き、肝を冷やした!別に噛みついたり飛びかかったりした様子はなかったが、飼い主が一生懸命になっているやつはお前か、とおどしていたのかもしれない。オカメインコはおおらかな物で、彼女は掃除機をかける時、肩にさえ乗せてもらえれば満足のようであった。この子はたくさん飼ったオカメの中で唯一、短い言葉を覚えてしゃべった。言葉はサナちゃん、とコラーの二つだけだが、それでも初めて聴いたときは驚いた。ピーちゃんは2年たっても3年たっても能力は向上せず、それどころか段々と活力が落ちて行った。そして、4年目に入ろうとする春に風邪を引いて肺炎になり、あっと言う間に落鳥した。死んだツバメの体をティッシュで包み、大きな植木鉢に埋葬し、そこにケヤキの苗を植えた。どこかに穴を掘って埋めてしまうのが忍びなくて、植木鉢の墓地を作ったのだが、後々、悲しみが尾を引き、なかなか立ち直れなくて辛かった。ツバメのヒナにはこういう苦い思い出があったのだが、また教会から頼まれてしまった。しかし、この子はピーちゃんの二の舞にはしない。