鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

原子力発電所の危険性 伝書鳩ハト子の対談

伝書鳩ハト子がスマホを背負ってやって来たのは、ニンゲンのお友達である東田ルリ子さんち。今日は先ごろスペインで環境問題についての世界会議があり、日本の若い環境大臣が日本のCO2排出量に関して協力的でないと、各国からコテンパンにやられたこともあり、ニンゲンとしての意見を聴きたいそうである。

「日本の石炭火力発電所についてやり玉に挙がったわけですが、確か中国あたりのそれと比べて日本の物は排ガスを極力抑えた、クリーンな火力発電と聞いています。小泉環境大臣はそれをデータで示して説明をしなかったのですかね?」ハト子、窺うように言う。「さあ、報道ではそういった言い訳を聞いていませんね。初めて代表として大舞台に登場したので、頭に血が上ってしまい、説明ができなかったのでは?」ルリ子さん、少々憤慨している。日本の石炭火力発電は諸外国が使っている古いタイプの物と比べれば、ダントツにクリーンなのだ、と聞いたことがあるからだ。車の排ガス対策だって、昔みたいに都会に行けば空が煙で曇って青空がぜんぜん見えない、なんてことはない。日本は諸外国にガタガタ言われる筋合いはないのだ!「では、環境大臣の力不足なので?」「そうよ、まだ若いからね。横断歩道を渡るのに左右を何度も何度も見て、十二分に注意をする子供のようなものよ。大臣に据えられたのだから、平議員の時みたいに好き勝手なことは言えないでしょ。でも、言うべきことは言っておいてもらわねばね」これはぜひ環境大臣に聴かせたい言葉である。「まあ、何度かそういった大きな国際会議に出ていれば、慣れてくるでしょうよ」「早く慣れてもらわないと、来年衆議院の選挙があるかもしれませんよ、ルリ子さん。そしたら、また内閣改造で小泉さん、クビになっちゃうのでは?それまでに、原発反対って言っちゃっておけばどうですかね?」ハト子、本題に入りそうである!「お父さんがそういうことを言っていましたね」どうせクビになるのなら、今のうちに言いたいことを言うべきだ、とルリ子さんも言うのだ。自民党の議員は原発反対、なんて口が腐っても言わない。「原発の危険性を国民が本当に知ったら、原発に賛成する議員なんて全員落選なんだけどね。彼らはそれを知らない。福島の原発事故はたまたま地震津波で運が悪かったからだ、と思っている。でも、原発地震津波が来なくても、本当に危ないのです。原発は、よくトイレのないマンションにたとえられます。稼働させている限り放射能をたっぷり含んだ廃棄物がどんどん出る。それを捨てる場所が、日本にはどこにもないのです。いったい、どうするつもりなのか?政府の偉い人たちは、今さえ良ければいいヒトばかりです。将来、日本国中が放射能のゴミでいっぱいになり、住むところがないほどに汚染されても、彼らはその頃にはお墓の中ですから痛くもかゆくもない!そんなことより電気が不足することで現在のヤリ玉に上がる方がコワイし、電力会社から大きな献金が来なくなるのも困る。国民も原発の怖さよりも温暖化に対応できる排ガスを出さないエネルギーに目を奪われていて、本当の怖さがわからない!どうするのでしょうね?福島の事故処理で出る、膨大な放射能を含んだ産業廃棄物を捨てる場所もないのですよ。どこの自治体も拒否するのです。もう、今、崩している原発の場所に大穴を掘って埋めるなどするより、仕方ありませんね」「ニンゲンって、身勝手ですね!国民全部、原発から作った電気をつかっているんでしょ?」ハト子、あきれ顔で、ますます豆鉄砲を食った顔になった!