鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

ダニの恐怖

ヒトはダニと共存しているそうだ。家の中でも噛みつくダニと噛みつきはしないが、ヒトの頭のフケや肌の汚れ、ペットの毛などをエサにしている目に見えないダニとか、小麦粉の他あらゆる食品に入り込み、それを食べて繁殖する連中。ヒトの体の毛穴にも住み着いている特殊なお方もいらっしゃるそうな!ある女性がそれを知って気持ち悪がり知り合いの皮膚科医師に頼み、毛穴の消毒をしてダニ退治をしたら、その後、体中に湿疹や吹き出物が出て、治すのが大変だったようだ。毛穴のダニは殖えすぎると悪さをするが、少しは居てくれる方が良いと聞く。毛穴の汚れを食べて生きているので、すべて殺してしまうと、かえって悪いらしい。家の外にもたくさんのダニがいる。屋外の方が多いのではないか、と思う。一番有名なのはマダニというお方。このお方、草の中がお好きで特にイネ科の草がお好みのよう。イネ科の草なんてそこら中に生えていて、短い物では芝生なんかが有名だ。シバの上に寝っ転がって喜んでいる若者を見ると、気持ちが悪くて身震いする!ちょっと、ちょっと、ダニに咬まれるよ!と言ってあげたくなる。道端に生えているエノコログサ(俗に言うネコジャラシ)やメヒシバ、オヒシバなどはワンちゃんが大好きで、鼻を突っ込んで食べているし、ガサガサと茂みに入り込む。そしてマダニをたっくさんくっつけて出てくるのだ!そこに素足で入り込んだらヒトにでも食らいつく。これは経験者である私が言うのだから間違いない!

今住んでいる地区に来てから、毎年、河原の掃除を地域住民総出で行っていたので、ある年、軽い気持ちでスカートをはいて出かけた。河原はすぐそこで履物は長靴だったので大丈夫、と考えたのである。草むらにも分け入ってゴミを拾った。1時間ほどで終り家に戻る。さて、その二三日後、なぜか咳が出始めた。咳は何か食べていたり、横になって寝ていたりする時は出ない。起きて体を動かししゃべったりすると出る。一週間、十日、一か月たっても治らない。かかりつけの医院で診てもらい咳止めをもらったが、飲んでいる間だけ止る。今度は病院に行ってレントゲン検査をした。異常なし、と言われた。うれしいような悲しいような複雑な気分だ。その後、二か月が経ち三か月めに入った。まるで妊婦だ?咳は出ていたが入浴は熱がなければOKとのことで、いつものように風呂に入り、ふと右足の太ももを見てホクロに気が付く。私ってこんなところにホクロがあったかな?おかしい?と思いつつ、日にちが過ぎて、ある日、そのホクロが倍以上になりボコンと膨れ上がっていてビックリする!わあ、ホクロが大きくなった、皮膚ガンだっ!メラノーマだっ!とあわててそれを撫でたらポロっと取れた!えーっ、とまたビックリしてから取れたホクロを摘まみあげてシゲシゲ眺める。細かい足があり蠢いていた。なんだ、ダニか!メラノーマじゃなくて良かった!取れた後は皮膚に穴があいていて血がにじんでいる。そして、その翌日から咳がピタッと止った。三か月近くこいつを養っていたわけだが、そのころはマダニの媒介する病気が報道されていなかったし、私も咳だけだったので良かったが、それからダニアレルギーになってしまったような気がする。マダニにはそのあと更に二回食いつかれて、気づくまで咳に悩まされた。「お前、また、ダニが食いついとるんと違うか?風呂に入ったら、よう調べて見ろ」と咳が出だしたら兄が口癖のように言ってくれる。田舎のダニで、ウイルスを持っていないお方ばかりだったらしいのが、不幸中の幸いか?