鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

目の手術 恐怖体験

白内障の手術をした。三年ほど前から右目がなんだか霞んで見えにくいな、とは思っていたが、年齢のせいかな、とか、本の読みすぎか?と楽観的に考えていたが、眼科に行くたび視力が落ちていて、とうとう「このままでは免許の更新ができませんよ」などとショッキングなことを告げられた!確かに年齢のせいだが、「白内障の手術をしなさい」とさらにショックなことを言われる。だが、笑ってごまかしたり、まあ、そのうちに、などとは言えない。車の更新は二年後だったが、視力はどんどん落ちます、と医師は脅かす。受けます、と返事をするより仕方がない。

では紹介状を書きましょう、と眼科の先生は機嫌よく書類を整えてくれた。いつも行く総合病院の眼科では手術ができないので、入院にしろ日帰りにしろ別のクリニックに頼まざるを得ない。隣町の日帰り手術ができる個人医院を選び、電話をかけて予約した。車で25分ほどの新しい眼科クリニックで、行ってみて座る所がないほどの患者が待っているのに驚いた。皆、予約患者らしいのにたいした盛況ぶりである。初めての患者だが総合病院からの紹介だからなのか、わりと早く呼ばれた。先生に会ってみると若いイケメンの眼科医で、だから流行っているのかな、などと考える。手術は五か月後とその翌月、右目、左目を順に行う。それまでに、何度も術前検査で通院する。実に面倒くさい。水曜日が手術日で当日は大勢のヒトが手術をすることになっているらしい。執刀医はそのイケメン先生ではなく、別の所から慣れた医師が来て行うようだ。

瞳孔が開きにくく検査に時間がかかって困った。自分で検査するわけじゃないが、その日は車の運転が危ないので教会の牧師先生に乗せてきてもらっていた。時間がかかるという事は、それだけ先生を待たすという事。とても気をつかう。手術の前後はその都度車を出してもらった。ペットがいるので日帰りを選んだが、手術などすることは中々大変なことである。

月日はすぐに経ち、とうとう本番の日がやって来た。予定時間は13時なので一時間前に入って、先生にはいったん帰ってもらう。手術時間は10分だというが、なにしろ目である。最初、瞳孔を全開にするため、3分おきくらいに目薬を注された。ネコが暗闇で目を開くみたいに瞳孔を開き切る。そして目のど真ん中に器具を差し入れて、バリバリと水晶体を破壊するのだ。リクライニングの椅子に座って背を倒し、仰臥の姿勢で「目を開けていてくださいね」と言われ、曇ったビニールのような物を顔にバサリと被せられ、患部だけが開いている状態だ。勿論、麻酔は点眼してある。「さあ、始めます」真上を見るように言われているが、体が硬直した!執刀医が何を行っているのかはわからないのだが、時おり目がズキンと痛む。叫ぶほどではないが、気持ちの良いものではない。バリバリという音はずっとしていて、体が丸太になった気がする。神さま、神さま、神さま!心の中で叫んだ。10分が1時間にも感じた。

「はい、終わりましたよ、ご苦労様でした」医師は淡々と言った。きっと笑っていたのだろう。右目にはしっかり大きな眼帯が付けられている。しばらくソファで休んでから、迎えの電話をかけてもらった。支払いをしてから薬局で抗生剤とステロイドの目薬を三種、化膿止めの飲み薬をもらう。そうしているうち先生が迎えに来た。翌日も同じ時間に経過観察をすることになっている。帰ってから痛くならないか気になったが、それはなかった。翌日、さっさと眼帯が外され、右目がクリアになっているのに感激はしたが、まだ左目が残っている。できれば経験したくない事柄だった!