鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

イヌシダ通信 麦国の混乱 コロナに翻弄される

イヌシダ通信社 伝書鳩ハト子の昼休み

ハト子の編集部に麦国の特派員隼タカオが入ってくる。彼はつい先だって臨時に南夜濁国の特派員から麦国に変わった社員っだが、週に一度、情報を仕入れて戻って来るのだ。オンラインでやり取りもするが、貴重な話は戻って直接に報告する。なぜなら、麦国や上国、露国相手だとどこで盗み聞きされているやら油断も隙もあったものじゃない、とニンゲンたちが常々言っているので念には念を入れてということらしい。

「どうなの?麦国の感染状況は?カード大統領は随分焦っているみたいだけど」ハト子、ハヤブサに尋ねる。「すごいですよ、毎日、万単位で感染者が増えています。なのに、ピークは越えた、などと言っています。もう、とっくに医療崩壊を起こしているのに大統領選挙のことしか頭にないみたいですよ!麦国はほんの少数の超大金持ちが国を牛耳っていて、国民の大方は医者にも行けない人たちばかりですからね!つまり、貧困層って所に位置する人々。彼らは偏った食べ物と不規則な生活、不衛生な環境にいて糖尿病や循環器系の病を持っているので、ひとたびコロナにかかるとひとたまりもありません。怖いことですよ!」隼タカオは興奮したようにまくしたてた。「わかった、わかった、自国の屋台骨がこうもガタガタになったことは、麦国も初めてでしょうけどさ。カード大統領の支持率はどうなのよ、まあまあ行けそうなの?」ハト子、ツバがかかりそうなタカオの口ばしをパチンとツバサではじく。ニンゲンならマスクをするところだが、鳥インフルエンザではないので大丈夫だ。「そこそこ支持率はありますが、経済がメチャクチャなのでコロナが終息しないと話になりません。経済を動かす、と言っていますが、ニューヨークの市長は急ぐな、としんちょうですよ」「麦国は今まで国に攻め込まれたことがないから、こんな非常事態になって大混乱ね。なにしろ相手が見えないから」「ウイルスは上国発だと大声で叫んでいます、それも上国の動物研究所から漏れ出た、人工的に作られたウイルスだと」コロナ対策の初動に失敗した大統領が、国民からの批判をかわすために言っている言いがかりだ、と上国は怒っているそうだ。そりゃ、怒るだろう、とハト子は思う。しかし、人工的にウイルスを作ったりできるのか?タカオが尋ねてくる。「さあ、ウイルスは変異しやすいから、遺伝子操作でもやったんじゃないの?それが何かの拍子に研究所の外へ出てしまった。上国は慌てたけど、気づいたときにはかなり広がっていた。隠さずにWHOにすぐ報告すれば良いのに、ロックダウンをしなければならないほど蔓延してから報告した。それも出どころをでっちあげて!麦国の言い分にも一理ありそうね」「東京はニューヨークの二の舞になる、と麦国の日系医師が心配しています」「いくら都市の規模が同じだからって、なんでも一緒にはならないわよ。まず、日本人は潔癖症です。マスクをして手を洗って嗽をして、オカミの命令にはハイハイと従うし、国民皆保険制度が整っているから誰でも病院に行ける。東京は大都市だけど都民の大半が貧困層なんてことはないでしょ」「そりゃそうですが、最近は国が福祉切り捨てに走りかけていますからね。このコロナ騒動で目が覚めてくれればイイのですが」「それは麦国も同じね、まったく、どちらの国も上国に依存しすぎて大きなほころびが出来ているのよ。他国に依存しすぎるとろくなことがありません。日本は食料も少ないのだから、阿辺川首相には考えてもらわないとね」そうですね、とスリムなハヤブサは同調した!