鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

リスト 愛の夢に挑戦

独学でピアノを始めて久しいが、最初の望みはエリーゼの為にを弾くことだった。バイエルを習っただけで、その後はレコードとテープレコーダーが先生である。誰も教えてくれないので、有名な曲が弾きたくても頂きは高かった。音楽の先生を捕まえて、記号の意味を訊ねたものだ。エリーゼの為には美しい曲で、ピアノを始めた者は皆、一度は憧れる曲である。でも弾けるようになると飽きてきて弾かなくなる。次に狙ったのはショパンの幻想即興曲。名曲であり難易度も高い。独学のニンゲンには無謀な狙いに思える。シャープもフラットも二つまで、なんてことを言っている初心者にはちょっと無理。ショパンの曲は大概がシャープやフラットの大判振る舞いが多い。楽譜を見ただけで手を上げたことが何度あったか。それでも弾いて見たくてワルツ全集でシャープとフラットに慣れることにした。幻想即興曲は最後まで撫でるのに1年以上、早く弾けないので今でも毎日一度は弾いている。もう、5年になる。愛の夢をやろう、と思ったのはショパンノクターン1番を練習してからだった。ややこしくてテープが伸びるほど聴いて、やっと弾けるようになり、後で難易度を調べたら、愛の夢と同等なのがわかったのだ。そこで無謀な挑戦を企んだ。やりかけてとても簡単ではないことに気が付く。この曲は幻想即興曲などより数段難しい。初めの1ページ、一楽章だろうか、そこはマアマア行けるが、その次、右手二重和音、左手は一重音で3オクターブほどを揃って駆けあがり下りてくる所。ここで大いに手こずった。半年は撫でている。そしてその次、二楽章で転調。フラット4個からシャープ5個に変わるのだが、これが超難しい。半音下がる、で弾いていたのを、今度は上がるになるのだ。同じ音符を頭の中で変換してキイを叩くのだが、失敗の連続。自分ながら呆れる。確かに良い頭の体操になること間違いなし!二楽章は聴かせどころである。ここを滑らかに活力ある演奏をしないと、砕けた曲になってしまい美しくない。転調後、さらにシャープが取れてハ長調にしばらく変わる。そして、またフラット4個に戻るのだ。極め付きがピアノの右端に近い所から三オクターブを両手をずらして駆け下るところ。ここはいまだに弾けない。1年も撫でれば弾けるだろうか、と片手ずつっ練習をしてはいるが。その次の個所も上り下りの激しい音階が続いて、やっと三楽章。ここはゆっくりで、愛の夢から覚めた所みたいに思えた。つまり夢なのだから、本当は結婚式の余興などに使ってはいけない気がする。リストに本心を問いただしたいところである。やってみよう、と思ったのは、難しい曲に挑戦すれば自分の技術がグレードアップするかも?と考えたからなのだが、それは確かな所だと言いたい。