鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

サザンカは危険!

晩秋になって紅葉が始まりだし、早い物は葉を落とし始める時節だが、街中ではサザンカやモクセイなど秋の花々が楽しめるようになって、日本の四季を実感するこの頃である。秋から冬、春まで次々と咲いてくれる椿の仲間は、厳しい我が国の冬の間、花の好きな人間をほっとさせるし、花の蜜を吸いに来る生き物たちには神の恵みに他ならないだろう。しかし、その冬の花に危険な生き物が集まるのを見過ごしてはならない!特に椿の仲間は要注意である。サザンカが危険、と書いたのは、この木が家々の生垣に好んで使われるからで、田舎や都会をこだわらず植えられて、どこからでも出会うからだ。ツバキ科の植物の中で植木屋さんが一番嫌うのがサザンカらしい。近所でモクレンを剪定していた職人さんに、我が家のサザンカを剪定してもらえるか打診をしたところ、手がすけば受けるが、本当はサザンカをやりたくない、とおっしゃる。「春秋問わず、チャドクガが付くのでな、また、連絡しますわ」と乗り気ではないみたいだ。まあ、気持ちはわかる。我が家のそのサザンカに数年前、その危険なチャドクガが10匹ほど固まってくっついているのを見つけた。ちょうど側溝の真上の小枝だったのでハサミを振るってチョキンと切り落とし、溝に上手く落ちて流れて行くのを見送ったことがある。くっついていたのは一枝だけで、その後は一度も被害に遭っていない。水やりをする時は毎日、葉裏にホースで水をかける。植物は葉裏に水をかけるのが害虫対策に一番良い。彼らはなるべく幼虫に雨が当たらない場所を狙って卵を産み付ける。毎日濡れているような所には産卵しないのだ。チャドクガの危険性は昔、NHK趣味の園芸という番組で何度も注意喚起していた。実際に見て見ると、気持ちが悪いことこの上ない。触ろうと言うきも起きないのだが、この危険な毛虫を棒でつつき回してひどい目に逢った友人がいる。ご機嫌伺いにメールをした時だ。珍しく速攻で返事が来た。いつもなら返信は翌日なのだが、どうした訳か?

体中に発疹ができて痛くて痒くて、いても経ってもいられない、と言うのだ。何をやらかしたのか尋ねると、洗濯物を干していて傍のサザンカに毛虫がウジャウジャとたかっているのを見つけた。棒でつつき倒して退治したのだが、その後家に入ってから異変が始まったと言うのだ。日曜日だった。病院へ行けば診てくれるから、すぐに行くように勧めたが、そこまではしたくない、という。では虫刺されの薬でも塗って、明日は必ず皮膚科に行くように、と進言しておいた。たぶんムヒくらいでは収まらないだろうけど、もし良ければ痒み止めの特効薬があるから取りにきてね、と言っておいた。来ないだろうけど!カチリという痒み止めなのだが、眠れないほど痒くても、大抵、これで治まる。友人にはチャドクガの怖さをコンコンと説教して、一匹の虫の一本の毛に数十万本の微細な毛がさらに生えていて、振動で辺りに撒き散らされるから、干していた衣類も着ている物も全部焼却処分をするように、と注意しておいた。ヒトの忠告を聞きたくない友人だったが、このことは素直に聞いて、すべてビニール袋に入れてゴミに出したそうだ。翌日、今からかかりつけ医に行く、と寝言のようなことを言ってきたから、悪いことは言わない、病院の皮膚科に行くように、とまた余計なことを言った。まあ、聞けば昨夜は痒くて一睡もできなかったらしい。よほど懲りたようで、言われた通り皮膚科に行ってきた、と帰りに寄ってくれた。私んちから歩いて5分の大病院である。彼女の家からは6キロあるが、かかりつけ医も病院の近くだ。皮膚科が高く取られる、というのでもないのだから、いちいち言われなくとも解りそうなものだが。「チャドクガにやられましたな」と言われ、カチリを処方された、と言う。そらね!出してくれるのは大きな入れ物に入った軟膏だ。大切に保管しておけば、またの時に役に立つ。彼女の着衣は見たことのない物に変わっていた!