鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

コチョウランに挑戦

コチョウランのミニ種を買った。花の大きさが5センチ弱で葉も普通のコチョウランと比べて三割ほど小さい。だが、コチョウランコチョウラン。小さくても育て方は変わりなく、特に冬越しが手強い。なにしろ熱帯地方のご出身である。寒いのが大の苦手だ。日本国内で手間なく冬越しが出来るのは南西諸島や小笠原に住む方たちくらいだろう。値段は安くなって買い求めやすく、シクラメンを買って正月に飾る感覚だ。そして花が終わったらさようなら、が大方のところである。植物の好きな人は、コチョウランを手に入れると張り切って冬越しにアタックする。ごく普通に観葉植物扱いで、居間などに置き一番花が終わった後、切り戻して二番花を咲かせることに成功する。手に入れて二か月くらいの間で、なんだ、上手く行くじゃないの。と喜ぶのだが、これはプロの業者が知恵をしぼって株に力をつけさせた賜物だからである。やがて寒さが厳しくなるが葉だけになったコチョウランの株は、健気に生きている。暖房した居間に置いているのよ、と自慢する者に話を聞くと、昼間、留守の間は暖房なし。夕方帰宅してから寝るまでエアコンやファンヒーターをガンガン付けて、20度以上にし、寝る時はまた暖房を切る。コチョウランは喜んだりがっかりしたりしているだろう。暖房は終日、ヒトがいなくても付けておくべし。20度にもしなくて良いが少なくても留守中15度くらいは保って欲しい。部屋中その温度を保つにはよほどの高収入持ちでないと、光熱費に目を剥く。必死になって生きようとするコチョウランがダメになるのは、大抵3月ごろである。急に弱って葉を落としだし、鉢から抜いてみると根が融けていた、というお決まりのコース。昼間はせめて15度以上、夜間は下げても10度まで。朝一で暖房の恩恵に預からせる。私はカトレアの大輪を20年以上作っているが、昼間暖房なしで外出したことなどない。オカメインコが寒いからでカトレアはそのおこぼれをもらっている状況である。夜は10時で暖房を切るのでカトレアだけミニ座卓の下に、充電式の湯たんぽを置き、上から90リットルの透明ゴミ袋を被せてカーテンレールから紐を垂らして止めて置く。朝6時にガスファンヒーターを付ける。カトレアの付近には斑入りゴムの木やあんどん作りのポトス、大鉢のセントポーリアがたむろしてにぎやかだ。このビニール袋の中に、コチョウランを入れて冬越しに挑戦させようと考えている。本当はフレームの中に入れて専用のヒーターを付けるのが望ましいが、そうすると電気代が馬鹿にならない。できればニンゲンさまの生活に付き合ってほしい。コチョウランファレノプシスといって、洋ランの中でもダントツの高温好きである。カトレアは無理をすれば夜間7度くらいあれば越冬できるがコチョウランはどうだろう?家は三重の窓ガラスにグラスウールの断熱材入りで、かなり暖かい。暖房を切って数時間は一桁にはならない。湯たんぽで4時間ほど辛抱してくれれば、またヒーターで部屋中暖めてもらえる。なんとかなれば喜ばしいが、雪がふると温度が下がる。外出時はオイルヒーターを強にして出ないと、部屋の温度がひどく下がってしまうのであわてて帰ってくる羽目になる。小鳥は専用のシート状ヒーターを付けてサービスする。

いつも思うのだが、コチョウランを冬越しさせて次の年も花を咲かせてみたいヒトは多いはずだ。鉢の下に小さなプレートヒーターを付けて、ビニールで被って温度を保てる工夫をした物を販売できないのか、と思う常々である。