鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

春の妖精エンゴサク

春の妖精とあだ名されるエンゴサクを採りに行ったことがある。まだ雪が残る渓谷の谷沿いに群生する山野草で、薄紫やピンク、ローズ色の可憐なケシ科の植物だ。涼しい場所を好むようだが珍しくてかなわないと言うものでもない。普通にあるのがヤマエンゴサクやジロボウエンゴサク。わが町の山地ではたまにエゾエンゴサクにも出会える。北海道とはとてつもなく離れているのに、エゾなになにという植物がチョコチョコあるのは不思議だ。草丈10センチほどのこの植物。春の妖精と言われるだけに植物好きの者が目にすれば、採らずにはおられない。つい根元をほじったりつついてみたくなる。

しかしこれほど採取しにくい山野草もあまりない。ヒトを馬鹿にしているとしか思えないエンゴサク!見つけると根元をつついて根を見つけるため土を掘ってみるのだが、細い糸のような物が土深く続き、いっこうに根が出てこない。下手をすると糸のような軸を折ってしまう。だいたい短くても7センチくらいは掘らされる!注意深く辛抱して、やっと突き当りに鎮座する小指の先ほどの球根に出会うことができる。だから平坦な場所ではたいがい採取に失敗する。崖のような所に生えているのを狙わなければならない。ジロボウはわりと糸が短く落ち葉が積もったような所に好んで生えるので採りやすいが、気の短いヒトは採取に挑戦するのは止めておいたほうが良いかも?