鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

紫花から白花が出る!


紫のセントポーリアミニ種を作って15年以上になる。自慢をするな、と言われそうなのだが一つの株をずっと育てているのだから、他人に見せた時ついつい自慢してしまう。エンゼル種という多花性の美麗な花で挿し木、葉挿し、株分けなどで良く殖えて困るほどである。けれども冬越しはけっこう難しい。5度以下だと冬は越せないので温室か一日中温かい、しかも明るい部屋に置くかどちらかだ。花の好きな方に上げてみるが100人中99人はダメにする。カトレアの冬越し並みにやっかいな方だ。だがf:id:himesida:20210614225508j:plain、温かくなって初夏から夏になると、我が世の春とばかりに元気を出して次々とツボミを出し、紫の小花が咲き誇る。15年も見ていると花には悪いが少々飽きてきて、白い花ならきれいだろうな、とこっそり思ってしまった。種でも蒔くのなら期待もできるが、株分けだの挿し木だの葉挿しだの、無理難題というもの。白い花が咲いて欲しい、など、ゴメン!と謝ってみたが、咲いてくれたら超うれしいよ、とまた心で思う。セントポーリアは台所のシンクの上に置いて家事の都度眺め、ヤクルトの入れ物で水を与える。その時つい手が使えて葉がポロリと落ちてしまい、それをゴミ箱に入れればよいのに納豆の入れ物に水を張って、落ちた葉を浮かせてしまうのだ。これは百発百中成功し根を下ろして小苗が誕生する。クローンのようなものだから親と同じものが出来て、10か月で開花となる。去年の7月、落とした葉をまたまた納豆の容器に浮かせたのだが、どういうわけか中々芽が出ない。根は出していたのに何か気に入らなかったらしい。葉にカビが付いてきた。普通なら即ゴミ箱行きだが、なんと芽が出てきていた。必死になっているように見えて、捨てるのをはばかられた。葉に着いた石鹸カスのような白いカビをそっと洗い落とし、そのまま育てた。鉢上げはいつもより時間がかかったが40日くらいでポットに移す。秋になり冬になった。アマゾンの空き箱に入れて割りばしで四隅に柱を作り透明のビニール袋を被せてからテーブルに置いた。照明の真下で、テーブルの下にはガスファンヒーターが半日稼働してくれる。留守中はオイルヒーターで加温し、春までの半年間カトレアやポトスなどと冬越しをする。カビ付きの小苗はどんどん大きくなったが、葉の色だけが親のように深緑にならず若草色のまま成長した。肥料も水も親兄弟と待遇は同じである。近所の花好きな同級生が覗きに来て、葉の色を不思議がった。なんで?と訊かれる。こっちが知りたいわ!

そして、春になり初夏になった。それぞれの株にツボミが付き始め、健気なカビ付きにも花が上がってきた。ツボミがどんどん膨らんで花の状態が想像できるようになり、心が躍る!白いツボミだ!開いたら中が薄紫か?あかんで。白くなってナ!毎日穴があくほど眺め倒されて、カビ付きだった小苗はりっぱな白花を咲かせてくれた。真ん中だけちょっと紫が残っているけど、本当に頑張ってくれた!よくやった!写真はちょっとぼけたけど、実物は美人なのです!