鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

ヒメカナワラビ

ヒメカナワラビはワラビと名が付いているもののイノデの仲間だ。ワラビは明るい場所に多いが、ヒメカナワラビはどちらかと言えば渓谷沿いなど湿気の多い所に多い。湿っぽい場所では石垣や崖っぷちなどを好む。近くの渓谷でむしってきた株を鉢植えしていたら、いつの間にか側溝の上に並べているブロックに取りついた。そこはハコネシダを付けた以外は全部勝手に生えたシダばかりで、特にホウライシダとシナノキシノブが勢力を争っている。最近はメヤブソテツやゲジゲジシダも仲間入りを果たし、シダ以外には国産のシュウカイドウとかリンドウ、ダイモンジソウなども取りついて賑やかである。写真はブロックにくっついたヒメカナワラビで、ヒメと呼ばれるのに似合わない大きな葉を展開させる。石付けにして水と肥料をけちって日に当てて作れば、しまって姫らしくなるが、大きな鉢に植えて水や肥料を奮発したりすると、巨大な株になり可愛くない。イノデの仲間は種類が多く、山であれこれ採取してくると名前も何もわからなくなりとても困る。日本では関東より西の暖地に生えているらしいが、図鑑の受け売りなので、本当の所はよくわからない。暖地と言っても我が町は雪が多い地方で、毎年30センチは降り多い時は50センチを超える。ブロックに貼りついたヒメカナワラビの上にずっしりと雪が積もり、箒ではねのけるが株ごと抜けたりはしない。丈夫で作りやすいシダである。ただ、水切れ厳禁なのは確かだから、夏は要注意だ。最近は35度以上も珍しくないので、遮光ネットはシダ愛好家にとっては必要なグッズになる。ヒメという名になかなかの美形でおまけに作りやすいという良い子ちゃん。難点は店に行っても手に入らないというところか?ネットで探せばあるかもしれないが、そこまでして手に入れたい収集家がいるかどうか。彼らは絶滅危惧種でも危急種でもない。持っていれば良いことがある、というめでたいお方でもない。まあ、有名でないから、個体が少なくなった、などと言われる心配がないのである。

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