鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

イマイチな介護保険

介護保険が始まって、かなりの年数が経った。母親の介護ではお世話になったのだが、疑問に思ったのは保険料を払っているのに、介護保険を使うには何かとカネがかかるということ。母は片足が悪い身体障害者で要介護3だった。デイサービスを受ける度1000円必要で、モノを借りるのにもいちいちカネである。ベッドや車いすを外に下ろす昇降機、床ずれ防止のマット、他たくさんあって保険ギリギリまで使わせてもらった。家の中を要介護者のためにリフォームするのは別勘定で、手すりを付けたり勝手口に段をつけたりをして、その月はデイを止めたりする。帳尻を合わすのはケアマネージャーさんだが、よくやってくださった。ありがたかったが、月の支払いは3万円ほどになり、はっきり言って痛かった。少ない年金しか収入のない貧しい家庭で、こんな費用が出せるのだろうか、と思う。誰もが生活保護を受けているわけではない。乏しい懐から費用を捻出するのだが、出せない家もあるだろう。週に二回デイサービスに行って欲しいが、財布の中を覗いて一回にする。ヘルパーさんに一日三回来て欲しいと思っても費用のことを考えて一回にする。カネのことを考えていたらまともな介護なんかできない。不公平な保険だ。収入の少ない家庭は無料にしろ、と言いたい。まあ、医療でも同じなのだが、介護保険ではしみじみ感じた。自分がお世話になるころ、はたして使わせてもらえるのか?集めた財源が足りなくなっているそうではないか。私は余分なカネなど出したくなかったから、随分吟味して保険を使わせてもらった。考えなしに行動すると思いがけない保険の出費になる。呆れたのは勝手口のドアを開けて地面に下りるのに40センチほどあって、初めはブロックを一つ置いていたが、母の足がひどくなり階段を付けてもらうよう、保険が効く会社に頼んだのだ。見積額は10万円!たった二段の幅50センチほどの階段が10万円。冗談じゃない、そこは断って、知り合いの大工さんに頼んでみた。すぐ、作ってあげる、と高齢の棟梁さん翌日に板の切れ端で作った、と担いで持って来た。手間賃だけでいいわ、と5000円の請求書を出してくる。保険も効くからな、と書類を書いてくれて、写真を撮って出すように、と言う。結局1割負担で500円の出費だった。介護事業所の言いなりになっていたら、ぼったくりに合うところだ。ベッドから要介護者を車椅子に移動させるときに使う、スライドシートなんか目の玉が飛び出るほど高価で、とても購入できなかったが、あれば楽である。当時、燃えないゴミ用の袋を市が10枚600円で販売していた。その袋が丈夫で良く滑る。それを利用することを思いついて、とても役に立った。60円で済んだ。介護のために役立つグッズはたくさんあり、保険が効くものも多い。しかし、すべてカネである。カネがなければ本当に葬式も出せない。コドモに迷惑をかけたくないから、とテレビのコマーシャルで言っているが、じゃあ、他人にはいくら迷惑をかけても良いんだね、と心の中で思う。コドモに遠慮するために介護保険があるのかもしれない!