鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

クスリに負ける!

7年ほど前、右足首近くに蜂窩織炎をやった。ホウカシキエンと読むのだが、急に足首が痛くなり赤く腫れてきて捻挫か、と思った。金曜日の夕方で翌日もその次も病院は休み!整形外科に行くつもりだったので月曜日まで辛抱したのだが、咳が良く出ていたのでかかりつけ医に行った。捻挫をしたと話したらセンセーはチラと足首を見て、すぐ血液検査、抗生剤の点滴、と慌ただしい。蜂窩織炎という病名で、その時初めて聞いた単語である。トマトそっくりな赤い色で足首から甲まで腫れあがって、完治するまでひと月以上かかった。幹部が固くなり心配になって皮膚科に行ったら、足を上げておくように、とのこと。言われた通り折に触れて足を上げること2週間、再び皮膚科に行って、柔らかくなったから、OKをもらったが、赤い色が沈着して茶色に染まった。それが何日何か月何年たっても元に戻らない。コーヒーを溶かして塗りつけたような濃い茶色で、格好悪くて温泉にも行けない。わが町には温泉が出るのだ。南と西の町はずれに浴場があり、普段は500円だが26日だけ半額になる。フロの日なんだそうだ。それを利用してよく行っていたが、ちょっと行くのを考える。茶色くなった足が気持ち白い所を出してくれるようになったが、5年たっても茶色の方が多い。そして2年前、その幹部が痛み出し硬いコブのようなモノが現れた。びっくりしてまた皮膚科に行ったら「あ、ステロイドを飲んでください」唐突に言われた。硬化性脂肪織炎、コウカセイシボウシキエン、です、とこれまた初めてのワードである。ちょっときつめの量から1週間で痛みはなくなり、少しずつ量を減らして今は2ミリのブレドニゾロンを飲んでいる。この足の茶色に変色した所は、夕方にはむくんで立派な大根になるし、白いただれが出てきたりして、とても面白くない。保湿剤にヒルドイドを出されて、せっせと塗った。朝夕に念入りに常用だ。応用範囲の広いマルチな軟膏らしかった。最初の1年くらいは何ともなかったが、2か月前、急にひどい痒みに襲われて、足の甲にポツポツと真っ赤なブツブツが出た。顔にもいくつか赤点が散った。甲から足首へと広がって茶色の皮膚の下部が真っ赤になった。茶色の部分から赤い色がはみ出して、よく見ると茶の下が透けて見える。猛烈に痒い!皮膚科に行くと、開口一番「虫刺されです」などと納得のいかない診断をされた。虫に刺された覚えはないです、イエダニでしょうか、と訊いたが、ダニではない、という。マイザー軟膏を処方された。ステロイドの上から二番目に強いクスリだ。顔は下から二番目の強さのステロイド軟膏アルメタで、手も痒いと言ったら、ベナパスタという抗ヒスタミン剤入りの軟膏を処方。足の猛烈な痒みにカチリという可愛い名前のかゆみ止めを出されて、マイザーの上から塗れ、という。赤くなった患部にはマイザーを最長10日間ぬってくれ、それ以上は禁忌。赤い湿疹は左足にも飛び火して、鮮血をぶちまけたような気味の悪い足になった。カチリは痒みをピタリと押さえてくれたが、足にしか使えない。きついクスリのようだ。薬をつけて回復を待ったが、一向に直らずしまいに右足両くるぶしに1円玉ほどのおおきな水ぶくれが出た!外くるぶしに二個、内くるぶしに一個。脱脂綿にワセリンを付けて落ちないように水ぶくれを被い包帯で巻いたが、朝には寝ているうちにつぶれて、夜には元通りになって、少しもカサブタにならない。頑固な水疱だ!皮膚科のセンセーは困惑をしていたが、やはり虫刺されのせいだ、とのたまう。誰が見ても虫刺されなんかじゃない。別の皮膚科に行ったらと知り合いが口をそろえる。私はおかしい、と思った。幹部はヒルドイドをせっせと塗った所に、申し合わせたようにして出ている。これはヒルドイドの副作用ではないかネットでヒルドイドを検索して調べたら、赤班が出ることがある、と書いてあった。もうセンセーにご注進する気はない。もらったすべての軟膏を中止した。水疱がめくれてしまった所に塗る抗生剤入りのテラコートリルという軟膏だけは使ったが。この間、足は洗えないし入浴もシャワーもできなかった。洗髪だけは長靴を履いてゴミ袋でスカートを作って足元までガードして、100均の雨合羽ポンチョを下着の上から着て行った。患部を濡らさないように涙ぐましい努力である。足の赤い湿疹はみるみるうちに回復へ向かい、水ぶくれはつぶれたままぺちゃんこになって、数日後にカサブタとなった。ああ、神の助け、それにしても、大量の薬を出す医者にも恐れ入った!