鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

遭難事故の多いH山

去年の年末、五人のパーティがH山に登って遭難した。この山は1500mほどのちょっとばかし高山になる、登山客が多い人気の山である。クマが住んでいるので必ずクマよけの鈴を持って行くが、山で出会って殴られたというのは聞いたことがない。それより遭難事故だ。二、三年くらいに遭難事故が勃発する。ほとんど死者が出るコワイ山なのだ。20年ほど前だったか、5人いっぺんに遭難して全員死亡、遺体は雪に埋もれて春の雪解けまで見つからなかった。隣町の女性が一人で登って途中の滝つぼに転落死したこともある。数え上げたらキリがない。冬は雪が多く毎年3m以上、7m降った年もある。カンジキを履いて行かないと登れないほどなのに、なぜわざわざ雪の季節に登るのか?アルプスなどに冬山登山した、と言えば尊敬の眼差しで見られようが、H山くらいでは話題にならないだろうに、山が呼び寄せるのだろうか?中年の女性が一人で登って行方不明になり、その女性の住んでいる村人が総出で探しに行った。三日くらい弁当持ちで日役だ。後で耳にしたが、女性の家人が日当を払ったと聞いた。女性は7合目くらいの崖から落ちて遺体が見つかった。彼女はタケノコを採りに行ったのだ。スズコというタケノコが沢山群生していて、採りに行ったことがあるが、一人でなんて怖くて行けない。タケノコにはクマがかじったあとがよく付いている。まあ、タケノコのシーズンになったら毎日山が鳴るほどに、タケノコ採りの連中が押しかけているから、山の物は警戒して出てはこないが、スズコの群生地はいきなり絶壁になったりしている場所が多いから要注意だ。遭難は四季を問わずで、登山をするなら山のことをよく調べて行うべきである。登山道は何か所もありスニーカーで登れるハイキングコースもあって、女子大生などには人気のコースだが、遭難する連中はこんな登山道を使わず一番西側にあるトレッキングコースを登って事故を起こす。一人で登って遭難、というのが結構多くて、皆度胸があるものだ、クマに出会うかもしれないのに、と思う。滝つぼに落ちた女性は午後から登りかけたと聞いた。登山のベテランだったというが、軽装で午後から1500m級の山を登山、なんて山を舐めているとしか思えない。ふもとでは35度ほどの気温でも、上に上がるほど涼しくなり、頂上では長袖でないと震えが来る。昔から遭難者が多かったらしく、どの登山道を登っても途中に避難小屋が作られている。頂上にも三角屋根の小屋があり二階から出入りするようになっている。きっと以前から冬山に登りたがる無謀な連中が多かったのだろう。しかし、遭難者が出る度に駆り出される警察官や消防署の方々は、大いに困惑である!