いま話題のアメリカ映画オッペンハイマーは国内でも上映され、なかなかの人気らしいが、聞けば原爆を日本に落とすマンハッタン計画を指揮した、日本人には甚だ面白くない人物の伝記だとか。まあ、彼は自分から率先してこの計画に乗ったのではなく、命令されてやったのだろうが、それでも嫌なモノはイヤなのだ。彼は理論上原爆がすごい力を持った兵器だとは思っていただろうが、なにしろ初めてのこと、使ってみないとわからない。その恐ろしさをヒロシマ、ナガサキで使用して地獄絵図を見た時は、すでに遅かった。彼の苦悩を映画にしたかった監督の気持ちはわからないでもないが、やっぱり私はきいただけでそっぽを向きたくなる。監督はヒロシマもナガサキも映像に入れていないそうだから。いくら説明しお涙頂戴に男の苦悩を描いたところで、凄まじい兵器の犠牲になり地獄を経験したヒロシマ、ナガサキのことはわからない。聞くと見るとでは大違い、というではないか!米国人の大半は原爆投下を、戦争が早く終わらせることができた、などと寝言のような言い訳をしている。彼らはゴメンナサイと言いたくないのだ。だから、映画の中にヒロシマ、ナガサキの映像を入れない。入れたら映画を見てもらえないかもしれない。原爆投下を正当化する米国民に忖度をしている気がする。これを日本で上映させる映画会社も頭にくる所業だが、しかたがない。我が国は敗戦国なのだから。国連でも、日本は敵国扱いなのだが、どれだけの日本国民がそのことを知っているのか疑問だ。