鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

イヌシダ通信 すさんだ世の中 1

伝書鳩ハト子、すさんだ世の中をレポートする。

「ルリ子さん、お久しぶりです。お変わりありませんか?」スマホを背負ってやってきた、イヌシダ通信の特派員、伝書鳩ハト子が嬉しそうに言う。今回はフリー取材だという事で、近頃問題になっている我が子への虐待とか中年の引きこもりをレポートするらしい。ルリ子さんのご意見を、と鉛筆をなめなめ尋ねるハト子の左手には小型の録音機が握られている。アンバランスな記者に、ルリ子はこっそり笑ってしまう。虐待についてどう思うかと聞かれた。「そうですね、すべて政府が悪いのでは、と思いますが。子供を持っている親を、もっとサポートしないと核家族の現在では、親が大変でしょうし、金銭的な援助の必要な家庭で起きていることが多いように感じます。これだけ、少子化と叫んでいるのに、せっかく生まれた大切な未来の働き手を、むざむざ殺してしまうのですから」「虐待を防ぐにはどうすれば良いとお考えですか?」ハト子、手帖にもメモをしながら尋ねる。

「虐待する親の罪と罰が軽すぎますね。もっと重くして、殺してしまった親は終身刑、死ぬまで刑務所に入って労働をしてもらいたいものです。それで稼いだカネは不幸な子供たちの為に使う。殺していない親も、子供を取り上げて二度と返さない。返すから殺される羽目になるのです。そのかわり、子供を大切に育てて成人させた親には褒賞を与えて欲しいわね。未来の大切な働き手なのだから。政治はもっと痒い所に手が届くような施策をやって欲しいと思います」「本当にそうですね。近頃の政府は人材が不足していますね。何か、事が起きてから腰を上げる始末です。大臣もコロコロ換わりますし、ルリ子さんなんかイライラなさるのでは?」「イライラどころか、頭髪が逆立つのよ!一言、つまらないことを口走っては辞任ですからね。彼らはニュースを見ないのかと思ってしまうの。なぜ、同じ愚行をやらかすのか、とね」「本当に、小学生でも言わないようなことを、彼らは口走って、墓穴を掘ります」「パソコンは秘書たち周りの者が使うので、自分は使わない、とのたまった大臣がおられたけど、せめてホームページを検索するくらいのことはやるべきです。難しいことはできる者にさせておけば良いですが、メールとか検索などは、やり方を紙に書いておけばできないことではありません。これからの政治家はある程度パソコンやスマホを使え、少しばかりの英語は駆使して欲しいわね」「本当にルリ子さんのおっしゃる通りです。でも、そのスマホやパソコンが普及しすぎて、人々の心に隙間風が吹きだしているとは思われませんか?特に、最近、話題になっている中年以上の引きこもりについてですが」