鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

イヌシダ通信 南夜濁国の混乱

イヌシダ通信社の残業中、一服している時に隼タカオが伝書鳩ハト子の所へ油を売りにやって来る。タカオは相変わらず南夜濁国から戻されたことに対して不満をこぼしていた。「とうとう、南はG(ゲー)ソミアの延長破棄を宣言しちゃったじゃないですか!前にも増して首都は大騒動らしいですよ。スズメ班やカラス班は大忙しだそうです」「こちらも大忙しよ、ちょっとタカオ、突っ立ってないでコーヒーを入れなさいよ。で、学大統領は少しはしおらしくしているの?」「な訳ないじゃないですか。すべては日本に責任がある、ボールは日本なのだ、なんて息巻いていますよ。麦国のカード大統領はカンカンなのに」「まあね、彼はすることなすことトンチンカンなニンゲンだからね。支持率がジワジワと下がって行っているので焦っているのでしょうよ」「株も通貨ヴォンも危険水域に来ています。外国人投資家がヴォン売りに走っているそうで」「Gソミアを破棄するなんて宣言したからよ。こんなヤバイ国に投資はできない、と思うのが当たり前よね」「でも、日本の銀行は皆、ヴォンをたくさん持っているみたいですね。早く手放した方がいいのに!今、売ってもとっくに元を割っているけど、紙くずになったらそれこそ大損です」「日本もかなり投資していると思うわよ、年金の積み立てなんかをね、でも、引き揚げてデフォルトにでもなったら困る、と阿倍川首相も内心思ってるんじゃないの。南がなくなるのはマズイのよ」「やっぱり南は必要ですか?」タカオ、マグカップにチャポチャポとコーヒーを注ぐ。タカオのコーヒーはなかなか美味い。「路国や上国を喜ばすだけだからね、なくなるということは北に吸収されるということよ、つまり夜濁半島が核保有国になり、もしかすると上国の一部になるかもしれないということ」「でも、それって路国が許さないでしょうし、麦国だって武力を持ってでも邪魔をしそうですよ」「だから、日本に武器をもっと買え、戦闘機もどんどん輸入しろって言っている。しまいに核を配置するなんて言い出すかも?」ハト子、穏やかならぬ顔である。コーヒーをすすってから、パソコンのスリープを解いた。カチャカチャと操作して画面に現れた画像をタカオに見せる。「南の首都ですね、相変わらずロウソクですか?ン、学大統領は退陣せよ!へえ、こんな遅くまでこんなことをやっている」「反日、不買に精を出せばいいのにね、南の経済が困るだけだから。日本の製品は委託販売の商品なんかじゃないのよ。全部あちらの買取よ、つまり不買運動で倉庫にひっこめておけば、店側が困るの。まあ、売るな、と言ったのは政府だろうから賠償をしてもらわなきゃ」「日本に遊びに行くな、と言われて困るのはあちらの旅行業界ですしね、あちらは人口が日本の半分ですから景気が悪くなって、政府の無理難題でますます国が混乱します」「一番しっかりしなきゃならない国のトップが、一番国の足を引っ張っているのよ、もう大統領をやめたら確実に塀の中ね」反日を画策しているヒマに、亡命の準備をしておく方が賢いのでは、とハト子が言う。

隼タカオは今一度、南夜濁国へ派遣されるそうだ。