鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

イヌシダ通信 死者数の疑問

イヌシダ通信社の新型コロナ肺炎取材員にコウノトリ嘴子がえらばれた。嘴子は南米特派員でブラジルにいて、本社から呼び戻されたのだ。

編集部に挨拶に来て「この度、コロナ取材班の一員に加えられたの。今、注目度ナンバーワンの記者に抜擢されて、超ラッキー!」と口ばしをカタカタ鳴らす嘴子に、コーヒーを飲んでいた伝書鳩ハト子と隼タカオは、驚いてむせそうになる!「脅かさないでよ、ハシコ!よく喜ぶわね、世界中がコロナショックで倒れそうなのに!」「まったくです、ハシコさん、大変ですよ、コロナの取材は!とにかく裏が取れにくいったら、皆本当のことを言いませんからね!感染したことを知られたくないから隠すんです。それを探ってきて真贋を見極める」「何がそんなに難しいのよ、感染者数や死者数は毎日メディアで発表するじゃないの!」嘴子のんきである。「信じているんですね、ハシコさん」とタカオ。「ハシコは若いからねえ、コウノトリの郷公園出身だからね。世間知らずなのよ。新聞やネットで発表される世界の感染者や死者の数は、発表者がそれぞれの国に行って調べてきた数ではないからね。国の保健省あたりが出した数字を麦国のとある大学が集計して発表した物なのよ。だから感染者数や死者数を知られたくなくてデタラメを申告している恐れがある」「へー、そうなんですか」あくまで目安だ、とハト子は言う。「特に信用できないのは、このウイルスの発出元である上国、それから独裁国家の北夜濁国。感染者はゼロなんて言ってるけど北部は上国とくっついているし、往来も厳しいのにゼロのはずはないわよ!あと、同じく独裁の露国ね。あそこは共産圏の国と同じで都合の悪いことは隠すから、信用できないわ。部国(べこく)もそうよ、死者数ゼロなんて絶対ウソ!コロナ死していても黙っていればわからないし。とにかく東南アジアは怪しい数字に見える」「麦国もいい加減デタラメですよ、ハト子さん!あの国、随分長い間、感染者15人だったのに急に増え始めてアレヨアレヨと言う間に感染者が万単位に、死者数もうなぎのぼり。まあ、国民の数が多いしそのくせ医療体制は脆弱、しかたないか、と思ったけど、なにか、最近はコロナを治療している病院に一人頭けっこうなカネが補助金として出るそうじゃありませんか!だから我も我もと病院側がコロナではない病人や死亡者を、コロナと偽って報告しているって聞きましたよ」タカオの話に嘴子びっくりだ。「ニンゲンって、そんなにえげつないの?」「ニンゲンが一番えげつないんだよ、彼らはいつもどうすれば一番都合が良いかを考えているんだ。カード大統領なんて、その最たるものだよ」ついこの間まで麦国の特派員だったタカオの言葉は説得力がある。「やあねえ、どこの国が一番いいのよ?」「日本に決まってるじゃないの、ハシコ、あんた日本のヒトに育てられたんでしょ?いっときコウノトリは日本から姿を消していたのだからね、あんたの先祖は露国なのよ。露国から5羽もらってきてコウノトリの郷公園で大切に育てられたんだからね。恩返しにしっかり取材してね」「ハイ!」再び口ばしでクラッタリングする嘴子であった!