鳥と山野草の話

鳥類と山野草、主にシダ植物を書いたりします。

イヌシダ通信 南夜濁国の疑惑

イヌシダ通信  駝鳥タロウ、会議室から出てきた伝書鳩ハト子と立ち話

「何の話だったんだい?えらく長かったが」タロウ、ハト子に長い首を寄せて聞いてくる。「決まってるじゃない、南の疑惑について裏が取れないか、社を上げて行動をすることになったのよ。他社に裏取りを出し抜かれるわけには行かないからね」「例のミサイル横流しの件か?あれは夕刊アソがすっぱ抜いた記事だが、証拠がないからな。いくら学大統領がバカでも、麦国から預かっている新型ミサイルを北に流したりするほど愚かじゃないだろ。それが事実なら国が亡ぶぜ」「するわよ!南はもう転びかけているのよ。カネがなくて倒産寸前なのだから、カネをチラつかせられたら一発よ!」「そうかな?あの北が最近自慢げに打ちまくっているタマは路国の物だって言うやつも多いじゃないか」「とにかくね、南がデングリ返ろうが、わが社がスクープを取る方が大事なの。」「どうやって裏を取るんだ?」「今、海猫ミャオ太、率いるウミネコ班の増員をかけているのよ。臨時の派遣員としてオオミズナギドリアホウドリ20羽ずつ、それとウミネコ班20羽で総勢60羽が手分けして、目撃者がいないか探すことになったの」「あの、レーダー照射事件の時か?」「ええ、横流しだったら陸からではなく、おそらく海。南が同盟国の哨戒機にレーダー照射をしてまで、あの近辺を攪拌したかったのは、よほど隠したいことがあって慌てたという意見で、会議は一致したのよ。だからあの時に近くにいたかもしれない海鳥を探して、インタビューすることになったの」ゆえに、大海原を遠方まで飛んで行くアホウドリオオミズナギドリをアルバイトで頼んだのだという。アホウドリなら同じアホウドリ同志の方が良いだろう、と社も予算を水増ししてくれたらしい。「あいつらのバイト料って高そうだな、円か?麦国ダラーか?」「でも、もしこれが本当ならガクはいよいよ売国奴ね。国を引っ提げて北に統一の手土産なのかもしれないわ。なのに、南の国民は取り付かれたように大統領の言いなりになって、反日に走っている。オリンピックの選手に出される食事が、放射能汚染していないか、とか、原発事故の汚染水をどうするのか教えろ、とか、なりふり構わない態度の難癖は、いよいよもって怪しさの極めよ!」ハト子、これから臨時バイトの補充員面接に立ち会うのだそうだ。「裏取りならニンゲンに聞いた方が早いんじゃないか?それが本当なら、麦国はCIMという優秀なスパイ軍団を抱えている。とっくに知っていて、知らん顔をしているのかもしれないぜ。夕刊アソにこっそり聞いてみたらどうだ」「勿論、アソにもデスクが手を回しているわよ、賄賂を用意してね」「へー、手回しの良いことで」

夕刊アソの編集長にこっそり渡すのは、イヌシダ通信社の社員があちこちの海岸や他国の砂漠などで拾い集めた、琥珀やヒスイ、ダイヤモンドの原石などだという。